7月の展示に向けて
「どうやって描いてるんですか?」とよくご質問をいただくのですが、なかなか言葉ではお答えしにくくて。
説明にはならないかもですが、Apophysis 操作画面のスクリーンショットを。
右下のずらっと並んだ行に数値を入れたり、別タブで開く画面で左に見える三角の形や大きさを指定したりします。常にプレビューウィンドウとにらめっこで納得出来る絵に出来るまで操作し続けます。
レンダリングするとpngファイルとして出力されますので、次はそれをフォトショップで「作品」にしていきます。
最後は顔料インクプリンターでディスプレイでの色味に限りなく近づけるよう色校正を重ね、プリントアウト。さらに微妙な階調が欲しいところに絵の具や色鉛筆で加筆して完成です。
この3つのフレームを展開して次の作品にしています。
他の制作手法もいろいろ試していますが、それはまたいずれ、作品としてカタチになったときにでも。
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不滅の記憶-『ヴァニタスの寓話』出品作によせて
「ヴァニタス」
ラテン語。
「空虚」「むなしさ」を意味する言葉。芸術作品においては、虚栄のはかなさ人生のむなしさを表現する概念。
んなわけあるか。
それが真っ先に浮かんだ思いでした。
折しも中高と一緒だった男気あふれるいい奴が突然死でこの世を去ったそのタイミングでした。
「んなわけあるか。」
大切な人を何人も送り出す年代の真っ只中にあると、「死」はその人の人生の充実も価値も積み重ねてきたものも一切忖度せず、その命を取り去っていくということがよくわかってきます。
「ヴァニタス」が多く描かれた16〜17世紀のオランダは海上貿易の隆盛などで栄華を極め、富裕層のみならず一般市民の生活もたいそう豊かだったと想像されます。バブル期の日本を覚えている方はその頃の雰囲気を連想するかもしれません。
しかし20世紀末の日本とは異なり医学も社会福祉も未熟な世界では、今日派手に遊んでいたひとが翌日に亡くなる、主を失った豪華な屋敷がまたたく間に廃墟と化す、一族が見る影もなく落ちぶれ離散する…などは今より遥かにありふれたことだったでしょう。そんな世で、なすすべなく、半ば諦めを抱きながらささやかれたのが「ヴァニタス」だったのではないでしょうか。
現在でもそういったケースが無いわけではありませんが、「ヴァニタス」に耽溺してとどまるには私は少し歳を過ぎました。
多くの人が長寿にあずかる21世紀で、闘い、生き抜き、そして半ばで(あるいはまっとうして)肉体を離れた彼らの生を見ながら、それを「虚しい」と言う冒涜は私には出来ませんでした。それは彼らの生を「記憶」している私の取るべきスタンスではなかろうと思い定めているからでしょう。
『不滅の記憶』
それが今回の作品のタイトルとなりました。
「ヴァニタス」
への
「んなわけあるか」
そんな、私からの返答です。
gallery hydrangea 企画公募展『ヴァニタスの寓話』
会期:2022.06.03(金)〜06.12(日)
休廊:火・水
時間:13:00〜18:30(最終日は17:00まで)
https://twitter.com/AjisaiGallery/status/1508265886079090692
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人物最終稿
この段階になるともう舞台上での描写、つまり作品全体画像での描き込みになっています。
トーク(帽子)のシルエットを円筒形からドーム型に。
遺灰壺に映り込みを。
ラブバードは当初原種の色にするつもりでしたが、全体のバランスを見てウチの子カラーに。
他いろいろ変わっています。
全部、どうすれば良いかは絵が教えてくれます。
完成作は
gallery hydrangea 「ヴァニタスの寓話」6.03(金) 〜 06.12(日) に出品いたします。
次回の投稿で詳細や作品の解題を書こうかと思います。
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人物描写 半ば
蔭や映り込みがこれからですが、存在感は出てきたようです。
同時進行で組み立てている舞台に移動してもらって細部や空気感を加えていきます。
ベールは当初下ろしていましたが、表現したいことのためには上げているべきだろうと変更に。トークの飾りも随分試行錯誤しましたが、センニチコウとアイヴィに。花言葉は双方「不滅」です。
スタミナ切れを起こさないように気をつけながら、あとちょっとです。
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使用アプリ Apophysis について
「どうやって描いてるんですか?」
とよく尋ねられます。
定規やコンパスで精緻な文様を描き出す方も大勢いらっしゃいますが、私は Apophysis というフラクタル生成アプリで図像部分を作成しています。
なぜフラクタルなのか?という問いへの答えはツイッターの固定ツイートに記したステートメントどおりで、これからもそれは変わらないと思うのですが、一言でいえば、「人間の手では及ばないから」ということに尽きます。人知を超えた揺るぎの無い姿に憧れ、その美しさにうたれます。
とはいえその姿を紡ぎ出すのは人間である私で、数字を操り、無限の色の組み合わせからただ一つを選び出し、0.001単位で変数を定め、一枚の作品としてこの世に実体化させています。
この現し世に生きるしか無い「私」とそんなの知ったことでは無い「フラクタル」を混在させることで、夢でさえも届かなかった世界を垣間見ることが出来ないかと考えています。
Apophysis はもう開発者も(たぶん)放棄してしまっており、その気のある作り手たちはとうに新しいフラクタルアプリに移ってしまっているような状況ですが、難しい理論を知らなくても感覚的に操作でき、画像ファイルへの描き出しもわかりやすく的確で、とても「気持ちに添う」アプリです。
これが使えなくなったら…私は何も描けなくなるのかな。
他の表現方法も模索するべきなのかな…と思いつつ、時間を忘れて見入るフラクタルとともに今日もまた制作をしています。
(画像はレンダリングに入ったところの Apophysis。一画像5時間以上とか普通にかかります。これを作品によっては10数枚… 電気代も結構イタイです…)
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4、5、6月に向けて
次の作品たちに参加してもらうフラクタルをいくつか。
偶然に任せて打ち出したランダムバッチ画像をブラッシュアップしたもの。
ランダムバッチはよほど運が良くないと美しいフラクタルに持って行けないのですが、ときどき奇跡も起きます。「フラクタルのカミサマのご機嫌がよかった」のでしょう(笑)
もう何度も何度も作品化したフレームからのフラクタルです。
何度作ってもまたそのたびに、音楽のような幻影のような新しい姿を見せてくれ、違う扉が開かれるようで作品に使ってしまいます。よほど自分の気持ちに合っているようです。
大きな作品のごく小さな部分だったのですが、これも目覚めた後の夢の記憶のようで離れがたいフラクタルです。
これもランダムバッチから。
意味ありげ過ぎてかえって使いどころが難しいですが、物言いだけでもありたぶんよいお仕事をしてくれそうで。
これも難しいですが、仕上げてやりたい画像です。
ちょっと立て込んでいますが、たくさん描かないといけません。頑張ります。
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ベラドンナ・アート展に出品します
春恒例のベラドンナ・アート展に今年も出品いたします。
4月19日(火)〜23日(土) 東京都美術館
A2サイズ出力の2点。色彩がさらに深く良くなったかと思います。
いつもPC画面で作り上げた色彩を極力そのまま出力しようと腐心しておりそのときそのとき最良のものを出してはいるのですが、経験を重ねるとさらに良く出来るようになったりもします。で、思い切って再出力しての出品です。
なお、入場料が必要ですが招待券がまだございますので、ご入用の方はツイッターのDMにてお気軽にお申し出ください。
アカウントは @mt_chloe_f です。
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出力の質が良くなりました
今年も「ベラドンナアート展」に出品いたします。
2020年の回に出品予定だった作品ですが、コロナ禍のあおりで延期になり今年に。
色校正の方法を少し変えたため黒がずっと力強くなり、全体の締まりも改善されました。画像はアクリルでの加筆中の姿。
公共の美術館展示ですのでその場での販売は出来ないのですが、もしお気に召すところがございましたらアモーレ銀座ギャラリーの方にそっとお問い合わせ下さい。
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